バイオガスからバイオメタンへ:信頼性の高い測定技術が安定性・安全性・品質を支える
バイオガスおよびバイオメタンを安定して製造するには、湿分や不純物を含むガスや、生物学的要因によるプロセスの変動に対応できる測定技術が不可欠です。計装は、消化槽における嫌気性消化の監視からガスラインや精製設備まで、プロセス全体の運転状況を可視化し、プロセスの安定性や安全性、規格への適合を維持するために必要なデータを提供します。一般的には、流量、圧力、温度、pH、レベルの連続測定に加え、ガス組成や品質を監視するガスアナライザを組み合わせて使用します。
下流設備の保護や精製性能の検証、腐食リスクや安全リスクの低減には、H2Sを重点的に測定することが特に重要です。また、精製工程では、重要な測定ポイントにおけるバイオメタンの流量と品質を一貫して測定することで、効率的な分離、品質仕様への適合、信頼性の高い移送や天然ガスネットワークへの供給を支援し、変動の大きい未処理バイオガスを、管理された、品質を検証可能なエネルギー製品へと変換します。
消化からバイオメタンまでのプロセス概要
このプロセス図は、有機性廃棄物を再生可能エネルギーへ変換するバイオガスプラントの一般的なプロセスフローを示しています。消化槽内では、酸素のない環境で微生物がバイオマスを分解し、主にメタンと二酸化炭素から成る未処理バイオガスを生成します。その後、ガスは前処理・精製工程を経て、硫化水素や水分などの不純物が除去され、バイオメタンへと精製されます。精製されたガスは、熱や電力の供給に利用できるほか、天然ガスネットワークへ供給することも可能です。
湿性ガスを扱うバイオガスラインにおけるインライン流量測定により、正確かつ連続的な監視を実現
消化槽出口におけるバイオガスの流量・品質測定
消化槽出口のバイオガスは、本質的に状態が不安定です。流量の変動や高湿度、気泡や凝縮水の混入、ガス組成の変化により、正確な測定が難しくなります。こうした要因は測定信号のばらつきを招き、プロセス制御やエネルギー収支の管理、規制報告に使用するデータの信頼性を低下させる可能性があります。
そのため、湿性で腐食性があり、性状が変化しやすいバイオガスに対応した計装機器による、バイオガスの流量と組成の連続かつ信頼性の高い測定が不可欠です。これにより、消化槽の安全な運転や生産バランスの管理、エネルギー効率の評価、法規制に準拠したフレアリングを支える信頼性の高いデータが得られ、不確かさや運転リスク、保守負荷の低減につながります。
- Prosonic Flow B 200:プロセス条件が変動する環境でも、湿性バイオガスや消化ガスを高精度かつ高い信頼性で測定。メタン濃度をリアルタイムで独自に分析できます。
- Prosonic Flow G 300:湿性ガスやガス特性・組成が変化する条件でも、幅広いガスアプリケーションで堅牢かつ信頼性の高い流量測定を実現。圧力・温度センサを本体に直接統合し、各種補正に対応します。
バイオガス処理チェーン全体の圧力測定
バイオガスの処理チェーンでは、乾燥、脱硫、精製といった各工程が、汚染や凝縮水、ファウリングの影響を受けやすく、その結果、圧力損失の増加や、最悪の場合には部分的または完全な閉塞につながる可能性があります。信頼性の高い圧力データがなければ、ガス流量が制限されたり、上流側のプロセスに影響が及んだりするまで、不具合を見逃してしまうおそれがあります。
各精製工程の前後で圧力を測定することで、設備の運転状態を明確に把握できます。差圧が安定していることは正常な運転を示し、一方で、緩やかな圧力変化や急激な圧力変化は、詰まりやフィルタの目詰まり、凝縮水の滞留を早期に検知する指標となります。これにより、適切なタイミングで対応できるようになり、バイオガスシステムの安全かつ信頼性の高い運転を実現します。
- Cerabar PMP21:コンパクト設計の圧力伝送器。設置が容易で、設置時間の短縮に貢献します。
- Cerabar PMP51B:高精度な圧力測定を実現。遠隔操作にも対応しています。
エネルギーに関する重要なパラメータをリアルタイムで監視
廃熱回収におけるエネルギー測定
CHP(Combined Heat and Power:熱電併給)プロセスの廃熱回収システムでは、流量が変動し、温度差が小さいことが多いうえ、プロセス条件も急激に変化するため、正確なエネルギー測定は容易ではありません。流量測定が不十分であったり、温度センサの設置位置が適切でなかったりすると、算出されるエネルギー値の信頼性に直接影響します。
信頼性の高い流量測定、供給側・戻り側に設置した高精度温度センサ、さらに熱量演算器を組み合わせることで、継続的かつ一貫性のあるエネルギー演算が可能になります。これにより、回収した熱エネルギーを可視化し、効率低下を早期に検知するとともに、実際の運転条件下における廃熱回収システムの性能を信頼性高く検証できます。
- Prosonic Flow E Heat:エネルギー管理の高度化を支援する超音波流量計
- EngyCal RH33:透明性の高いエネルギー消費の監視を実現する熱量演算器
- iTHERM ModuLine TM131:モジュラー式温度伝送器
工業用プロセスにおけるガス濃度の高選択的な連続監視に対応した壁面取付式TDLASガスアナライザ
バイオガスのバイオメタンへの精製
バイオガスをバイオメタンに精製するには、未処理バイオガスの流量変動やメタン・CO₂濃度の変動、さらにH₂Sや水分、シロキサンなどの不純物が存在する条件下でも、安定した適切なプロセス制御が求められます。これらの変動を早期に検出・制御できなければ、分離効率や製品ガスの品質、プラントの稼働率に悪影響を及ぼす可能性があります。
堅牢なソリューションには、精製チェーンの重要なポイントにおける流量、温度、ガス組成など、主要なプロセス変数の連続測定が欠かせません。信頼性の高い計装により、精製設備が正常に動作していることを確認し、仕様どおりのバイオメタン品質を維持するとともに、ファウリングや異常を早期に検知し、精製工程の安全で効率的かつ規制に準拠した運用を実現できます。
- TDLASガスアナライザJ22:バイオガスおよびバイオメタンの品質をリアルタイムで監視し、ガス品質の信頼性の高い取引計量を実現
- TDLASガスアナライザJT33:H2Sのリアルタイム連続測定を実現