キーワード、オーダーコード、製品コード、またはシリアル番号で検索してください(例:「CM442」や「技術仕様書」)
2 文字以上を入力して検索を開始してください。

孤立ではなく協力を

デジタル化には、オープン性と協力が必要です。競合他社との協力に求められるものは何でしょうか?Open Industry 4.0 Allianceの最高経営責任者Ekrem Yigitdöl氏とEndress+HauserのCEOであるPeter Seldersが、この問いについて議論します。

11.11.2025 Text: Christoph Stockburger, André Boße Photography: Andreas Mader
Open Industry 4.0 Allianceの最高経営責任者Ekrem Yigitdöl氏とPeter Selders

Yigitdölさん、今日はこれまでに何回デジタルサービスを使いましたか?

Ekrem Yigitdöl:私はスマートテクノロジーを朝から使っています。私が在宅勤務するか外出するかに応じて、家に何をすればよいかを音声制御を使用して指示します。運転中は車と対話します。車内で重要なニュースを要約し、その日のToDoリストを作成できます。これですべてがスムーズに進みます。

私たちの日々の生活では、さまざまなプロバイダを誰かが調整しなくてもデジタル化を活用できます。では、なぜプロセス産業では物事を進めるためにOpen Industry 4.0 Allianceなどの組織が必要なのでしょうか?

Ekrem Yigitdöl:それには2つの理由があります。1つは、知識が不均一に分散していることです。一方の企業はデジタル化が非常に進んでいても、他方はまだ着手もしていません。私たちはナレッジエコシステム、つまりノウハウと経験を共有するコミュニティであると考えています。2つめの理由は、産業の世界が、スマートウォッチ、住宅、自動車のB2Cの世界よりもかなり複雑であることです。

Peter Selders:当社のお客様にとって、プロセスプラントのセキュリティが最優先事項です。また、多くの分野で厳しい法規制が施行されています。このため、常にプロセス制御をオフィスのIT環境と切り離しておくことが必須です。つまり、デジタル計装データのための安全で独立したチャンネルを用意する必要があるわけです。その多くが数十年以上にわたって操業しているプロセスプラントでは、デジタル通信インフラの構築が必要です。また、1つのプラント内で複数のベンダーの機器、計装、システムが混在するため、各種コンポーネント間の相互運用性を維持する必要もあります。

その際、Open Industry 4.0 Allianceはどのような支援を行うのでしょうか?

Peter Selders:サイバーセキュリティ、統合、相互運用性のいずれであろうと、お客様にとって実用的な答えを見つける唯一の方法は、他の製造者との協力です。なぜなら、これらの問題は常にシステム全体に関わるものだからです。プロセス産業のデジタル化にはオープンな技術エコシステム、つまり、なるべく多くの機器ベンダー、プラント製造者、ソフトウェアプロバイダ、システムインテグレータがサポートしている規格、インタフェース、アーキテクチャ、およびイノベーションが必要です。参加する企業が多いほど、お客様にとってより良い結果がもたらされます。

Ekrem Yigitdöl, managing director of the Open Industry 4.0 Alliance

“We see ourselves as a knowledge ecosystem.”

Ekrem Yigitdöl, managing director of the Open Industry 4.0 Alliance

重要な事実

Ekrem Yigitdöl

Ekrem Yigitdöl氏は、2021年10月からOpen Industry 4.0 Allianceの最高経営責任者の職に就いています。同氏はスイスを本拠地とするこの協会だけでなく、ドイツのミュンヘンにある事業会社の経営も担っています。また、事業拡大とともに、会員が業界の慣行にデジタル化を適合できるよう支援する、OI4の子会社であるImplementation GmbHとの関係構築の職務も行っています。同協会での活動以前、Yigitdöl氏はVoith Groupで指導的な立場の役職を歴任しました。2024年、同氏はミュンヘン、ベルリン、ブリュッセルに事務所を構える登録社団European Economic Senate(EES)の議員となり、さまざまなEU団体の顧問を務めています。

Endress+Hauserは、Open Industry 4.0 Allianceの一会員であるのみならず、共同設立者でもあります。どのような経緯で共同設立者となったのでしょうか?

Peter Selders:Endress+Hauserのコーポレートアイデンティティの観点から、同列のパートナーと信頼できる協力関係を構築することが大原則あり、これこそがお客様にとっての価値を生み出す方法であると考えています。この信念から、当社はOI4 Allianceを共同設立しました。私たちは、ターゲットとする業界のデジタル化を促進するために、他の企業とコラボレーションすることを望んでいます。コネクテッドプロセスによる効率性の向上という、Industry 4.0の最大のコミットメントを実現する唯一の方法は、強力なネットワークの下に結集することです。Open Industry 4.0 Allianceは、まさにそのためのプラットフォームです。

Open Industry 4.0 Allianceの付加価値とは、具体的にはどういったものですか?

Ekrem Yigitdöl:Open Industry 4.0 Allianceによって、参加するさまざまプロバイダの意見をまとめることが可能になります。その重要性は、デジタル経済がどれだけ変貌しているかを考えればすぐに分かります。わずか10年前まで、デジタルプロバイダは企業顧客向けのカスタムソリューションを開発するのが一般的でした。しかし、それはもはや商業的意味を成さなくなっています。プロバイダには、さまざまな顧客に個別に対応するための幅広いオプションを提供する余裕がもはやないのですしたがって、解決策を見出すには、同様の課題に直面している競合他社と力を合わせる必要があります。そして、そのためにオープン性が必要なのです。

企業はそれに向けた準備ができているとお考えですか?

Ekrem Yigitdöl:このマインドセットの変化は、多くの企業で起きています。OI4については、参加企業が独自の知識を漏らすことなく、共通の問題について話し合い、解決策を策定するという役割が周知されてきています。

一般的に、プロセス産業全体での協力や提携は増加しているのでしょうか?

Peter Selders:私は、デジタル化や持続可能な変革といった、プロセス産業が直面する大きな課題を克服するための鍵となるのは協力だと考えています。これはつまり、パートナー間の相互学習、共同開発、そして協働による成長です。このOpen Industry 4.0 Allianceであれ、個別のパートナーシップであれ、他の企業との協力には常にリソースと労力が必要となります。私たちは、注力すべき時、妥協すべき時、そして手を引く時を見極めなければなりません。しかし、協働は実を結びます。協働することで、私たちはより大きな影響力を持ち、より大きな貢献をすることが可能になります。

Dr Peter Selders, CEO of Endress+Hauser

“The only way to realize the core promise of Industry 4.0 is to band together in strong networks.”

Peter Selders, CEO, Endress+Hauser Group

重要な事実

Open Industry 4.0 Alliance(OI4)

Open Industry 4.0 Alliance(OI4)は、ベンダー各社の機械、機器、およびソフトウェアの統合の円滑化を目的とした活動を行っています。2019年に設立されたOI4は、プラントコンポーネントの相互運用性の向上と統合コストの削減に取り組む企業のエコシステムです。参加企業は、デバイス接続、エッジコンピューティング、およびクラウド統合を可能にする技術フレームワークの開発など、さまざまな取り組みについてワークグループで協力しています。これには、 Asset Administration Shell(AAS)などの既存の規格に基づくインタフェースやモデルソリューションの作成も含まれます。OI4は、Endress+Hauser、SAP、Beckhoff、Hilscher、ifm、KUKA、Multivacの各社によって共同設立されました。現在、 OI4には130以上の国際的なメンバーおよびパートナーが参加しています。

プロセス業界のデジタル化の動きは、全体的に鈍いように思われますが、この認識は正しいでしょうか?

Ekrem Yigitdöl:いいえ、機械工学やディスクリート製造と比較して、動きが鈍いということはありません。私たちの経験上、プロセス産業分野の企業は、自らが何を必要としているかを正確に把握しています。これらの企業には、常に非常に多様なシステムの開発に取り組んできた歴史があります。彼らは関係者同士がコミュニケーションを取り合う、ひいては企業間で協力することに精通しています。ですから、そこには進歩のための潜在的なモメンタムが満ちています。

Peter Selders:進展が鈍いような印象を与えるのは、業界特有の制約があるためです。また、他の技術のデジタル化と比較せず、プロセス技術のデジタル化のみを見た場合も、動きが遅いと思われるかもしれません。当社のお客様は、デジタル技術の分野に関して非常に積極的です。昨今、Endress+Hauserは相互運用性、接続性、サイバーセキュリティの面で大きな進歩を遂げています。私たちの目下のタスクは、私たちのアプリケーションとサービスの有用性をお客様に示すことです。

Yigitdölさん、Open Industry 4.0 Allianceの設立からこれまでの発展についてお話いただけますか?

Ekrem Yigitdöl:私たちは、13か国からのメンバー企業が参加する国際的な組織です。当初は、ボランティアが運営する団体としてスタートしました。しかし、団体は急成長し、すぐに構造を専門化する必要があることに気づきました。これは、実際のアプリケーションのデジタル化を実施するメンバー企業を支援するという、私たちの機能を維持する上で非常に重要です。そしてそれこそが、私たちの中心的な使命なのです。

その例を挙げていただけますか?

Ekrem Yigitdöl:はい。では、デジタル化の基盤を構築するための手段である、オープンエッジコンピューティングガイドラインの導入について見てみましょう。この最初のステップを踏み出す企業は、このプラットフォーム上のすべてのプロセスについて、サイバーセキュリティの重要分野などのコンプライアンス要件を満たせるかどうかを検討する必要があります。机上でのテストと実際のテストはまったくの別物です。私たちの団体は、この実際のテストに対する支援が可能です。技術専門家で構成されたコンプライアンステストチームがあり、顧客の設備がガイドラインを満たしているかどうかを確認するためのハッカソンを実施できます。最近では、2社がこのテストプロセスに合格しました。1社はSME、もう1社はドイツ最大手企業の1つです。私たちの団体が、組織の規模を問わず支援を行っていることがお分かりいただけると思います。

いつか、この産業分野でデジタル化が本格的に始動した場合、Open Industry 4.0 Allianceの役目は終わるのでしょうか?

Peter Selders:いいえ、その場合は役割を変化させることになるでしょう。接続性、サイバーセキュリティ、データ主権などの問題が解決すれば、例えば作業現場におけるAIアプリケーションなどにフォーカスすることもできます。

Ekrem Yigitdöl:同感です。これがデジタルトランスフォーメーションの素晴らしい点です。常に新しい機会と可能性が待っている、終着点のない長く続く旅なのです。

ダウンロード

その他のリソースを検索

document icon
Company magazine 'changes' 2/2025
How digitalization is gathering pace
download icon ダウンロード