概要
工業規模のコーヒー焙煎では、一酸化炭素(CO)濃度が急激に上昇することがあります。CO濃度を継続的に監視することで、プラントの安全性を確保するとともに、焙煎度合いの把握にも役立ちます。また、気体分析は包装工程でも重要な役割を果たし、コーヒーの香りを維持するうえで欠かせません。Endress+Hauserは、安全性と品質に関わるプロセスパラメータを監視する測定ソリューションを通じて、コーヒー製造を支援します。
コーヒーは世界中で親しまれている飲み物です。近年では、味わいの多様化に加え、製造方法や豆の品質も大きく進化しています。大手メーカーだけでなく、増え続ける消費者ニーズに応えるため、小規模な焙煎業者も数多く誕生しています。そのため、コーヒー豆の処理能力に応じて、焙煎設備の規模もさまざまです。小型車ほどの大きさの設備から、工場全体を占める大規模プラントまで幅広く存在します。
しかし、設備の規模が異なっても、焙煎プロセスそのものは基本的に共通しています。
焙煎工程では、一酸化炭素(CO)濃度が急激に上昇することがあり、安全上の大きなリスクとなります。そのため、こうした急激なCO濃度の上昇をいち早く検知し、迅速に対策を講じられるようにすることが重要です。
課題:コーヒー焙煎における安全性と品質の両立
焙煎工程では、細心の注意を払った管理が求められます。工業規模の焙煎では、製品や焙煎度合い、目標とする焙煎色に応じて、温度は200~280 ℃の範囲で制御されます。コーヒー豆が乾燥する過程では、水分や油分とともに二酸化炭素(CO2)や一酸化炭素(CO)が発生します。
COは焙煎開始直後は比較的低濃度ですが、工程が進むにつれて指数関数的に増加します。適切な監視を行わなければ、CO濃度が爆発下限界を超える恐れがあり、これはプラント運転者にとって絶対に避けなければならないリスクです。一方、CO濃度を継続的に監視することで、この危険を未然に防ぐことができます。アラームしきい値を適切に設定すれば、爆発性雰囲気が形成される前に焙煎工程を停止することも可能です。CO濃度は短時間で急上昇するため、早期に異常を検知し、迅速に対応することが不可欠です。また、焙煎中に発生するコーヒー豆の薄皮やワックス状の成分は、フィルタや排ガス処理設備を短時間で目詰まりさせることがあり、除去も容易ではありません。
CO濃度の高精度な測定は、安全対策だけでなく品質管理にも役立ちます。コーヒーの加工方法によっては、CO濃度が適切な焙煎度合い、さらには求める香りを判断する指標として利用される場合もあります。
メンテナンス負荷を低減し、信頼性を向上:CO直接測定のメリット
ガスアナライザ GM901は、ガスフィルタ相関法を用いて、一酸化炭素(CO)をダクト内で光学的に直接測定し、CO濃度をmg/m³またはppm単位で算出します。これにより、CO濃度の上昇を約10秒という短時間で検知できます。
投光ユニットと受光ユニットの光学部は、パージエアユニットによって粉塵や汚れから保護されています。焙煎工程では、コーヒー豆の薄皮やワックス状の成分が発生しますが、直接測定方式(in-situ)は、このような用途で特に効果を発揮します。ガス処理システムでは分離しにくい、こうした粘着性の高い物質ともアナライザが直接接触しないためです。
迅速な直接測定による短い応答時間と、メンテナンス負荷の低さを兼ね備えたGM901は、コーヒー焙煎工程に最適なソリューションです。
- 排出ガス監視:CO濃度を連続測定し、プロセスの最適化に貢献します。
- 安全性の向上:CO濃度を継続的に監視し、爆発下限界を超える前に異常を検知します。しきい値を超えると早期に警報を発します。
- 衛生性と高い信頼性:直接測定方式により、アナライザは焙煎工程で発生するワックス状の成分やコーヒー豆の薄皮と接触しません。
プロセス内の酸素測定をシンプルに実現:TRANSIC100LPは、レーザー分光法(TDLAS、波長可変半導体レーザー吸収分光法)によりO₂を高い信頼性で測定する堅牢なトランスミッターです。
パッケージ内でコーヒーの香りを保つには
コーヒー本来の風味は、包装工程によっても左右されます。パッケージ内でコーヒーの香りを保つには、包装前に酸素を除去することが不可欠です。酸素濃度が高すぎると、風味はどうしても損なわれてしまいます。
窒素による不活性化は、レーザートランスミッター TRANSIC100LPを用いた高速・高精度な酸素測定によって効率よく行えます。酸素濃度は包装機で直接測定され、不活性ガスとして窒素が充填されます。
窒素は高価なため、不正確な測定結果に基づいて手動でシステムを調整すると、効率が悪くコストも増加します。理想的には、プロセスを継続的に監視し、適切に制御できることが重要です。そのためには、酸素濃度を迅速かつ高精度に測定できることが欠かせません。
レーザー技術を採用したTRANSIC100LPは、電気化学式センサと比べて優れた性能を発揮します。堅牢なレーザー式酸素トランスミッターは容易に組み込むことができ、時間遅れや測定誤差、不要なアラームの発生を抑え、高精度な酸素測定を実現します。測定結果が短時間で得られるため、窒素供給を確実かつ自動で制御でき、追加の手動操作も不要です。一方、電気化学式センサでは、より慎重な管理が必要でした。
TRANSIC100LPを使用することで、窒素消費量を削減できるだけでなく、メンテナンスコストの低減にもつながります。このトランスミッターは摩耗部品や可動部を持たず、消耗品も不要です。さらに、高い気密性を備えているため、誤測定の防止にも貢献します。
O2測定におけるレーザー技術(TDLAS)のメリット
- プロセス内で直接、高速測定が可能
- 設置・運用が容易
- メンテナンスインジケータ付き自己診断機能
- 粒子、振動、流量変化の影響を受けない
- 運転コストを低減(消耗品は最小限、パージガスも不要)
- 長期安定性に優れ、湿度や温度の影響を受けない