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予防保全や予知保全といったメンテナンス戦略は、メンテナンス作業をどのように実施するかを定めるものです。一方、状態監視は、実際に対応が必要となるタイミングを判断するための基礎となる情報を提供します。

デジタル対応デバイスとセキュアな接続環境を活用することで、プラント運転者やメンテナンスチームは、運転中のアセットの状態をリモートまたはデバイス上で確認できます。こうして得られる情報を基に状態監視が可能になり、より早い段階で、より的確な判断に基づくメンテナンス対応を実現できます。

状態監視は、メンテナンス戦略を決定したり、メンテナンスに関する専門知識に代わるものではありません。アセットの健全性に関する客観的な情報を提供し、それを基に最適なタイミングでメンテナンス作業を計画・実施できるよう支援します。こうした情報は、イベントや異常の検知に役立ち、「いつ」「どのように」対応すべきかの判断を支援しますが、最終的な判断と責任は、オペレータやメンテナンス担当者が担います。

このように、状態監視は、より適切な意思決定を目指すメンテナンスや設備信頼性の担当者だけでなく、状態基準保全を大規模に展開できるかを評価するオペレーション責任者にとっても重要です。

設備の前でタブレットを操作する作業者 ©Endress+Hauser

状態監視はなぜメンテナンスにとって重要なのか

デバイスの健全性を定期点検だけで把握することは、ますます難しくなっています。そこで重要になるのが状態監視です。アセットの複雑化やインフラの分散化が進む中、従来の点検中心の手法では、必要な情報をタイムリーに把握することが難しくなっています。

一方で、メンテナンスチームは限られたリソースと、限られた予算の中でプラントを運用するという課題にも直面しています。そのため、最も影響の大きい重要なアセットへの対応を優先せざるを得ません。その結果、重要度の低いアセットでは問題が徐々に蓄積し、品質や可用性、安全性に影響が及ぶまで見過ごされてしまうことがあります。

状態監視では、稼働データを継続的に収集し、状況に応じて分析することで、メンテナンスの判断に役立つ情報を提供します。これにより、決められた保守間隔ではなく、アセットの実際の状態に基づいてメンテナンスを実施する状態基準保全への移行が可能になります。その結果、チームはより早い段階で、より自信を持って対応できるようになります。

状態監視とは?アセットデータをメンテナンスの意思決定につなげる

状態監視では、時間の経過に伴う測定可能なパラメータの変化を継続的に把握することで、運転中のアセットの状態を可視化します。対象となるパラメータには、アセットやアプリケーションに応じて、圧力、流量、温度、レベル、品質などがあります。その目的は、通常運転時と比較して変化や異常な挙動を検知し、NE107のステータスコードに従って分類して、効果的なメンテナンス計画につなげることです。状態監視は故障を事前に予測するためのものではなく、意思決定に役立つ重要な情報を提供します。

状態監視の本質は、アセットの健全性をデジタルデータとして可視化することにあります。運転データやセンサデータを継続的または一定間隔で収集し、可視化することで、アセットの現在の状態を信頼性高く把握できます。これにより、メンテナンスチームは挙動の変化や対応が必要なタイミングを判断できます。意思決定は、人が行う場合もルールに基づいて行う場合もありますが、その判断は、仮定や定期保守のスケジュールではなく、客観的な状態データに基づいて行われます。

状態監視では、実際の運転条件下におけるアセットの通常の挙動を基準(ベースライン)として設定します。このベースラインからの逸脱は、何らかの変化が生じていることを示します。その原因としては、摩耗、ファウリング、ドリフト、プロセスの乱れなどが考えられます。状態監視では、単一の信号値やアラームだけに頼るのではなく、意味のある変化を示すトレンドや偏差を重視します。

状態監視は、意思決定の根拠となる情報を提供し、メンテナンス戦略は、その情報をどのように活用するかを定めます。状態監視は、状態基準保全に必要な情報を提供するとともに、予防保全などのメンテナンス戦略を情報面から支援します。アセットの実際の挙動に基づいて意思決定を行うことで、チームは早期に対応できるようになり、不要な作業を減らし、運転上の優先事項に沿った効率的なメンテナンスを実現できます。

効果的な状態監視の主な要素 ©Endress+Hauser
効果的な状態監視の主な要素

効果的な状態監視の主な要素

効果的な状態監視は、次のような主要な要素が相互に連携することで実現します。

  • 信頼性の高い現場測定:状態監視の基盤となるのは、アセットの挙動を正確に反映する信頼性の高い現場測定です。データソースが信頼できなければ、その後の分析や判断に活用する情報も意味を持ちません。
  • 必要なときに利用できるデータ:ローカルからでもリモートからでも、意思決定に必要なときに同じデータへアクセスできることが重要です。
  • 偏差の明確な把握:偏差や異常状態を明確に識別・把握することで、チームは最も重要なところに集中することができます。
  • わかりやすい診断:問題に確実かつ適切に対処するには、明確でわかりやすい診断が必要です。
  • 効果的で安全な接続:接続はこれらすべての要素を支え、状態監視を大規模に展開するための基盤となります。

接続とリモートアクセス

接続性は、状態監視を個々のアセットだけでなく、分散した運転環境にも展開するための基盤です。運転要件に応じて、さまざまなアーキテクチャを採用できます。監視と既存のオートメーションシステムを密接に統合する場合はオンプレミス構成が一般的です。クラウド接続型のアーキテクチャは、分散したアセットやアクセスが困難なアセットの監視に特に効果を発揮します。

接続性により、アプリケーション要件やセキュリティ要件に応じて、アーキテクチャにかかわらずほぼリアルタイムの監視を実現します。HART、Profinet、Ethernet/IP、IO-Link、Ethernet-APLといった一般的な産業用通信プロトコルにより、フィールドデバイスの診断データやプロセスデータにアクセスできます。

エッジデバイスやゲートウェイは多くの場合、データを集約して前処理を行い、中央システムの負荷を軽減しつつ安全な伝送を可能にします。重要なのは、DCSやオートメーション環境と安全に共存できることです。状態監視は、運転を妨げることなく設備の状態を把握できるため、制御システムを補完します。

リモート状態監視がもたらす価値

多くの産業アセットは、分散して設置されていたり、移動式であったり、アクセスが困難だったりします。このようなアセットを手動で点検することは非効率であり、リソースを大量に消費します。

リモート状態監視では、継続的に現場を巡回することなく、分散したアセット全体の状態をタイムリーに把握し、一元的に監視できます。偏差を早期に検知し、状況をより的確に把握できるため、メンテナンスチームはメンテナンスの実施をより効果的に計画できます。トラブルが発生してから慌てて対応するのではなく、計画された停止期間に合わせてメンテナンスを実施できます。これにより、優先順位を適切に設定できるため、緊急の作業が減り、より計画的なメンテナンスの実施につながります。

状態監視からアプリケーション固有の監視へ

状態監視は、アセット全体を対象とした共通の監視基盤を提供します。業界やアプリケーションに関係なく偏差や異常な挙動を把握できます。

メンテナンス最適化のための次のステップは、この情報をアセットの重要度とメンテナンスの優先順位に関連付けることです。これにより、状態監視で得られたデータを、具体的な対応につながる情報へと変換し、より的確な計画、優先順位付け、対応につなげることができます。

手すりに設置された状態監視ソリューションを備えた水処理施設 ©Endress+Hauser

アプリケーション事例:水処理・排水処理における状態監視

水処理・排水処理では、メンテナンスの最適化と、プロセスの信頼性・品質・規制遵守は密接に関係しています。状態監視は、プロセスの挙動を可視化し、異常を早期に検知するとともに、監査に必要な記録を残します。これにより、分散したインフラ全体で、より的確なメンテナンスの意思決定を支援し、より信頼性の高い運転が可能になります。

水処理・排水処理アプリケーションにおける状態監視

状態監視は、水処理・排水処理事業者が異常を早期に検知し、より的確なメンテナンス対応を実施するとともに、分散したインフラ全体で監査対応に必要な記録を維持できるよう支援します。これにより、信頼性、品質、規制遵守が同時に強化されます。

状態監視が水処理・排水処理におけるメンテナンスの最適化をどのように支援するのかをご紹介します。

よくある質問

注釈

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