海運業に対する規制圧力が高まっています。たとえば、厳格な環境規制として、船舶排出ガスの継続的な監視と文書化が義務付けられています。このため、重油を燃料とする船舶には、排出ガス中の硫黄分を低減するためにスクラバーが設置される場合があります。スクラバーの効率は、連続排出ガス監視システム(CEMS)を使用して分析されます。このシステム(Endress+HauserのMARSICアナライザなど)は、スクラビング前後のエンジン排出ガス中の関連汚染物質の濃度測定によって監視を行います。つまり、環境に放出された排出ガスの測定値の記録と文書化だけでなく、スクラバーや触媒コンバータ自体のプロセス効率も監視します。
この監視システムが故障した場合、船舶運航業者は、義務化されたリミット値の遵守を証明できなくなるため、法令違反のリスクを負うことになり、制裁措置を受ける場合もあります。多くの場合、船舶運航業者は、運航中のCEMSの修理に必要な専門作業員を確保できていません。しかし、この問題はデジタルツインによって解決できます。センサのダウンタイムが発生した場合、スマートアルゴリズムにより、利用可能な船舶とスクラバーの運転データから、欠落している排出ガスとコンプライアンスステータスのデータを推定できます。これを行うために、機械学習モデルが履歴データを分析して、船舶に搭載された計測システムのデジタルツインを作成します。
規制当局の承認
Endress+Hauserは、まさにこのようなソリューションを開発し、製品化しました。MARpems(船舶向け予測型排出ガス監視システム)は、同社のMaritime Suiteに含まれるサービスの1つであり、アナライザが故障した場合でも継続的な排出ガス規制の遵守を保証します。これはオンプレミスソフトウェアのため、データは海運会社のサーバー上に保存されます。「このソリューションは規制当局の承認を得ています。MARpemsは、ドイツ、マルタ、リベリアなどの主要な旗国から承認を受けています」と、Endress+Hauser SICKのデジタル製品管理部門のチームリードであるFabienne Jäckleは説明します。旗国は自国の旗を掲げる船舶の技術規則を定めているため、この承認は大きな意味を持ちます。
MARpemsは、排出ガス規制の完全遵守だけでなく、他にもさまざまなメリットを提供します。排出ガススクラビングシステムの運転状況に関する透明性を高め、サービス作業を最適化し、メンテナンスコストを削減できます。Fabienne Jäckleは次のように述べています。「これは単なる緊急時のバックアップシステムではなく、海運業における効率と競争力向上のための戦略的ツールでもあります」