要約
多くのプロセスプラントでは、HART通信プロトコルは、既存のフィールド機器から有用なプロセスデータにアクセスする手段として、今もなお重要なアセットです。 技術的な変更や移行は、特にレガシーシステムと最新プラットフォームの統合を伴う場合、困難になる可能性がありますが、IIoT(Industrial Internet of Things)への接続は実現可能です。 この記事では、有用な情報を提供し続けているHART通信プロトコルについて説明し、現場の既存のHART機器を活用した、IIoTエコシステムとの低コストの統合オプションをご紹介します。
4~20 mA/HART機器を使用するプロセスプラントでは、診断機能をおろそかにすると、予期せぬ状況が急速に悪化してしまう可能性があります。今回、事例として紹介するシナリオは、典型的なメンテナンス状況をまとめたものです。
大雨の日を想像してください。メンテナンスチームは、最小限の介入で通常業務を遂行できると考えていました。しかし、複数の問題が同時に発生し、迅速な対応に迫られました。チームは突如として深刻なレベル測定の問題に直面することになりました。
オペレータから、レベル計の測定値が不安定で、正確なレベル情報が得られない状態でプロセスが実行されているとの報告がありました。レベル計はプラント内の作業場から離れた場所に設置されており、機器にアクセスするには悪天候の中を移動する必要があります。
設置場所に到着して機器を確認したところ、現場設定を利用できないことが判明しました。問題の診断にはフィールドコンフィギュレータが必要ですが、バッテリが切れています。このため、技術員は戻ってツールを充電してから、再び機器のところまで移動する必要があります。この間、正確なレベル測定が行われていない状態でプロセスが続行され、オペレータはレベルが極度に高くなっていることに気づきませんでした。
最終的には、レベルリミットスイッチが作動し、プロセスが停止して製造が中断されました。安全システムは設定どおりに機能したものの、今回のインシデントは重大な脆弱性を浮き彫りにしました。これは、診断情報にすぐにアクセスできないと、トラブルシューティングに時間がかかり、不要なダウンタイムが発生することを示した典型的なシナリオです。
上記の事例と似たような経験をされたことはありませんか?今回のような状況は、多くの場合、現場から直接機器データにアクセスすることで迅速に解決できます。フィールド機器が4~20 mAアナログ信号を使用している場合でも、ほとんどの機器はHART通信プロトコル を搭載しています。しかし、この事例ではそれが活用されませんでした。
ご存知のとおり、HARTは新しい技術ではありません。世界中の産業で数百万台ものHART対応機器が設置されているにもかかわらず、その基本原理について、まだ十分な理解が得られていません。
HARTはHighway Addressable Remote Transducerの略語であり 、1980年代半ばに導入されたプロトコルです。当初は独自規格でしたが、1986年にオープン規格になりました。
©Endress+Hauser
HARTは、従来の4~20 mAアナログ信号にデジタル信号を重畳するハイブリッドプロトコルです。この規格は数十年にわたり使用され、現在でも多くのプラントで広く利用されています。
技術的な観点から見ると、HARTにはBell 202規格および1200 bpsの周波数偏移変調(FSK)が採用されています。バイナリ値は2つの周波数で表現されます(1200 Hz:「1」、2200 Hz:「0」)。この方式により、アナログ信号を中断することなく、マスタ機器とスレーブ機器間の通信を実現しています。
HARTプロトコルと他のフィールドバスプロトコルの違いとは?
HART対応のフィールド機器は、完全なデジタル機器と同等の診断データと運用データを提供します。重要な相違点は、このデータへのアクセス方法にあります。デジタル機器は、情報がアクティブに使用されているかどうかに関係なく、継続的に情報を通信します。一方、現場の多くのHART機器は、有用なデータを内部に保持したままです。
HART通信プロトコルを使用するすべての機器は、PROFIBUS、FOUNDATION Fieldbus、その他のデジタル技術と同様に、インテリジェントデバイス管理(IDM)をサポートしています。HARTは、複数の機器からデータを読み取るためにマルチドロップモードを提供していますが、この方法は処理速度が遅いため、それほど普及していません。幸いなことに、マルチドロップ設定を利用しなくても、この重要な情報を抽出できる代替ソリューションがあります。
では、HARTと完全なデジタルフィールドバス機器の実質的な違いは何でしょうか?機器の健全性データや診断データなど、情報の種類や品質の点では、実質的な違いはありません。ただし、HART機器の標準設置においては、すべての機器データが常時利用可能なデジタルネットワークとは異なり、制御システムは一般的に4~20 mAアナログ信号のみを受信します。
幸いにも、最新のソリューションでは、有線/無線の両方でHARTデータへの効率的なアクセスが可能になっており、Endress+HauserのNetilion などのIIoTエコシステムを使用することで、データを実用的な情報に変換できます。
IIoTエコシステムに適したHARTインタフェースとは?
前述のレベル計の事例のような状況は、多くの場合、最新の接続オプションを活用することで回避できます。大規模な投資やプラント改修なしに、HART対応フィールド機器からIDMデータを取得する実用的な方法があります。
©Endress+Hauser
1. WirelessHARTによる統合: 無線は機器データを収集する最もシンプルな方法の1つです。WirelessHART アダプタを既存のフィールド機器に追加することで、データをWirelessHARTゲートウェイに送信できます。このゲートウェイ(Endress+HauserのFieldgate SWG70 など)をエッジデバイスに接続すると、IIoTクラウドプラットフォームとのシームレスな統合が可能になります。無線ソリューションはすでにさまざまな産業で広く採用されており、多数のアプリケーションでその有効性が実証されています。
2. HARTゲートウェイによる有線統合: 有線ソリューションを利用するプラントの場合、HARTゲートウェイは4~20 mAループからデータを抽出し、Netilion などのIIoTプラットフォームに接続するための信頼性の高い方法を提供します。このアプローチは無線方式に比べて初期投資が少し高くなる場合がありますが、投資回収期間は通常、数ヶ月以内です。たとえば、イーサネットベースのHARTゲートウェイであるFieldgate SFG250は、機器データにアクセスしてクラウドシステムに統合するためのシンプルかつ効率的な方法を提供します。HART over Ethernetは、日常業務を複雑化することなく、有用な情報を引き出すための最も効果的な方法の1つです。
前述の事例で明らかなように、IIoTはそれほど手の届かないものでも、複雑なものでもありません。IIoTサービスの利点は明確であり、プラントにIIoTを導入すると、運用面で大きなメリットが得られます。
たとえば、IIoTにより、インストールベースの包括的な概要を把握できます。多くのプラントで、約30%のアセットがすでに陳腐化していることをご存知ですか?IIoTサービスを利用すれば、エッジデバイスを介して手動または自動で容易に機器を登録し、デジタルツインを作成できます。
接続後は、Netilion Analytics などのデジタルサービスが提供する直感的なダッシュボードやグラフから、透明性の高い有用なデータが得られます。このデータを分析することで、機器の可用性やライフサイクルステータスなどの重要な情報が明らかになり、複雑さを軽減し、メンテナンス作業を効率化できます。
IIoTとHART通信プロトコルを組み合わせた場合のもう1つの強力なアプリケーションは、機器の健全性監視です。Netilion Health などのデジタルサービスは、Endress+Hauser製機器と他社製機器の両方の診断情報を提供します。
有線接続とWirelessHART接続のどちらを使用する場合でも、ゲートウェイをエッジデバイスに接続してクラウドと安全に通信できます。これにより、どこからでも機器の健全性情報にアクセスできるようになります。
システムでは、NAMUR NE 107規格に基づいて機器ステータスが表示されます。診断アラートやエラーが発生した場合は、詳細まで掘り下げて調べ、根本原因と是正措置を特定できます。履歴データも利用でき、イベントの発生日時と発生頻度を確認できるため、アセット性能の経時的な変化などを明確に把握できます。
前述のレベル測定インシデントの発生時に、このような健全性監視システムが導入されていれば、問題を早期に検出して時間を節約し、予期せぬダウンタイムを回避してコストを削減できていたことでしょう。
まとめ: IIoTを導入すると、プラント管理がよりシンプルに、よりスマートに、より効率的になります。
F
L
E
X
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高い信頼性と堅牢性、容易なメンテナンス
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