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Calcia社がキルン入口システムを活用してクリンカー焼成プロセスを最適化

過酷な環境下においてもロータリーキルンで直接ガス分析を実施

2020年、Heidelberg Materialsの子会社であるCiments Calcia社は、複数の生産拠点を対象とした大規模な投資プログラムを発表しました。この取り組みは、持続可能で低炭素かつ高効率な事業の実現を目指すHeidelberg Materialsの戦略の一環として進められたものです。その中には、フランスのAirvaultセメント工場における日産4,000トン規模の新たなクリンカー生産ラインの導入が含まれており、原料ハンドリングと燃料効率の向上が図られました。また、CouvrotおよびBussac-Forêtのセメント工場でも、生産プロセスの改善に向けた取り組みが進められました。

SCPS3300 セメントプローブシステムによるロータリーキルン入口でのプロセスガス分析 ©Endress+Hauser

Calcia社のCouvrot工場に設置されたキルン入口向けSCP3000 ガスサンプリングプローブ

キルン入口に設置されたSCPS3300 プロセスガスアナライザ ©Endress+Hauser

SCPS:1. リトラクションユニット、2. 取付フランジプレート、3. ローカル制御盤、4. 水/水熱交換器、5. 空気/水熱交換器、6. PLC盤、7. 計装空気圧力調整装置、9. MCS300P ガスアナライザ

実績

  • Calcia社は、ロータリーキルン入口向けプロセスガス分析システムにおけるSICKの豊富な実績と多数の導入経験を評価し、フランスで実施するプロジェクトにおいて、再びSICKのセメントプローブシステムを採用しました。

  • Calcia社の工場改修は非常に厳しいスケジュールのもとで進められました。SICKは、システムの製造を優先するとともに、技術承認や物流面の調整を適切に進めることで、生産停止期間内での導入を実現しました。

  • 設置と試運転は、現場のメンテナンススタッフとの連携により効率的に実施されました。導入後のメンテナンス対応は最小限に抑えられており、システムの稼働率も高い水準を維持しています。

  • 本記事は2024年1月17日にSICKのウェブサイト(www.sick.com)で公開されたものです。Endress+Hauserは2025年1月1日より、SICKの気体分析および流量測定技術を全世界で独占的に販売しています。

Ciments Calcia社のティーザー画像

現在のシステムは以前と比べて大幅に改善されています。手作業による対応は大幅に減り、週に一度の点検だけで運用できています。現在の高い稼働率にも非常に満足しています。

Sergio Tossi氏
Calcia社のCouvrot工場長

セメント産業は世界でも特にエネルギー消費の大きい産業の一つであり、生産コストの最大40%をエネルギー費用が占めています。そのため、化石燃料への依存を減らす手段として、代替燃料の活用が積極的に進められています。化石燃料はコスト面での負担が大きいだけでなく、温室効果ガス排出の要因にもなるためです。セメント業界で広く利用されている代替燃料の一つが、木材チップ、古紙、プラスチック、タイヤ、廃油などを原料とする廃棄物由来燃料です。これらを活用することで、製造プロセスで使用する化石燃料の大部分を代替できるため、コスト削減と脱炭素化の両立が可能になります。こうした背景から、セメント業界では、排出量とコストの削減を進めながらグローバル市場での競争力を維持するため、代替燃料への移行が進められています。

一方で、代替燃料の使用比率が高まるほど、サイクロンの詰まりやリング形成、腐食といった問題が発生しやすくなることも知られています。その結果、圧力損失の増加やキルンシールの摩耗、不完全燃焼、さらには硫黄や塩素の揮発量増加など、さまざまな操業上の課題を引き起こします。さらに、キルン内部の有効断面が狭くなると、クリンカーの粒度不良やガス流速の上昇を招きます。これにより粉塵の発生が増加するだけでなく、熱化学プロセス内で局所的な高温部が生じ、耐火材やキルン外殻の損傷につながる可能性があります。その結果、キルンの停止頻度増加や設備稼働率の低下、生産性の悪化、さらには付着物の剥離によるクリンカー品質の低下を招くことになります。こうした問題は、熱化学プロセス中のガス組成を継続的に監視し、その情報をプロセス制御に活用することで抑制できます。安定した最適運転を維持するためには、正確なプロセスガス分析が欠かせません。Calcia社では、プロジェクトの初期段階から、近代化されたプラントや将来のプラントで求められる高度なプロセス制御に対応できるプロセスガス分析システムの選定を重要な課題と位置付けていました。

お客様の要件

セメント工場のキルン入口に設置されるプロセスガス分析システムには、主に次のような機能が求められます。

  • キルンの回転部分におけるプロセスガス組成の測定

  • キルン入口の過剰空気比(O2)の管理

  • 一酸化炭素(CO)濃度および燃焼状態の監視

  • 排出ガス管理および温度制御に向けたNOおよびNO2濃度の監視

  • 揮発性硫黄化合物(SO2)の監視

  • バーナー制御、燃料および原料配合の調整、プロセスガス制御に活用するためのガス濃度データの提供

さらに、この分析システムは、キルン内の塩化水素(HCl)濃度を測定することで、塩素循環の状態を把握するための情報も得られます。これにより、塩素の揮発によって発生する詰まりの問題を軽減できるほか、塩素バイパスガス量の最適化にも役立ち、HCl排出量の抑制にも貢献します。

一方で、キルン入口でのガス測定は容易ではありません。粉塵濃度は最大2,000 g/m³に達し、温度は1,400 ℃近くにまで上昇するためです。こうした過酷な条件下でも、SCPS3300 セメントプローブシステムは信頼性の高いガスサンプリングを実現します。水冷式プローブと高性能なセルフクリーニング機能を備えており、キルン入口で安定した運転が可能です。また、特殊なプローブ構造と高圧バックパージシステムにより、粉塵濃度が高く、塩素や硫黄化合物を多く含むガス環境でも、プローブの詰まりを防止します。さらに、最適化・補強されたガス流入口をガスの流れに対して逆向きとなる角度で配置することで、粉塵や粒子がサンプリングシステムへ直接侵入するのを最小限に抑えています。これにより、長さ2.5~4 mの高耐食性プローブチューブを摩耗や詰まりから保護し、長期にわたる安定運転を支えています。

Calcia社のCouvrot工場に設置されたキルン入口向けSCPSガスサンプリングプローブ ©Endress+Hauser

プローブは、外部の水/水または空気/水熱交換器によって冷却されます。ガス流路内に可動部品を設けていないため、大量のガスを採取できるだけでなく、プローブ内部の接触面も最小限に抑えられています。これにより、熱応力や詰まりの発生を低減しています。採取したガスは、プローブ終端のフィルタユニットに組み込まれた加熱式金属メッシュフィルタによって除塵されます。さらに、フィルタ、フィルタチャンバ、プローブチューブは、内蔵のバックパージユニットから供給される加圧空気によって自動的に洗浄されるため、メンテナンス負荷を軽減できます。洗浄シーケンスは、自動または手動で開始できます。また、プローブは定期的に±45°回転し、運転中でも測定を中断することなく前後10 cm移動できます。これにより、プローブ外面への付着物の堆積や焼き付きが防止され、必要に応じていつでもプローブを引き抜くことが可能です。このため、システムには電動リトラクションユニットに加え、停電時にも使用できる空圧式バックアップモータも装備されています。これにより、停電時であっても防塵仕様のスピンドル駆動機構を介してプローブをキルンから引き抜くことができます。さらに、機械式または空圧制御式のシーリングフランジにより、高温の材料がキルン外へ流出するのを防ぐとともに、外部の作業者や設備を保護します。また、外気が炉内へ流入するのを防ぎます。システムの加熱部には、熱橋(ヒートブリッジ)の発生を抑制する設計が採用されており、腐食性ガスの凝縮リスクを低減します。その結果、95%を超える高いシステム稼働率を実現しています。制御ユニットおよびローカルコントロールパネルにはタッチスクリーンが搭載されており、装置の自動運転と手動操作の両方に対応しています。

SCP3000 防塵フィルターの点検・洗浄 ©Endress+Hauser

プローブ背面からアクセスできるため、SCP3000 防塵フィルターの点検・洗浄が容易

トータルアナライザソリューション

Endress+Hauserは、ガス抽出プローブからガスアナライザまでをトータルで提供できる数少ないサプライヤーの一つです。また、ホットウェット測定技術を用いたセメントキルン入口向けガスアナライザにおいて、長年にわたる豊富な実績を有しています。MCS300P HW 多成分ガスアナライザは、非分散型赤外線(IR)フォトメータを搭載しており、赤外領域で最大6種類のガス成分に加え、酸素濃度も測定できます。キルン入口用途では、O₂、CO、CH₄(天然ガス使用時)、NO、CO₂といった燃焼関連ガス成分に加え、SO₂、HCl、NH₃などのプロセスパラメータを測定するよう構成されるのが一般的です。ホットウェット測定技術では、サンプルプローブからガスアナライザまでのガス流路全体を加熱します。そのため、採取したガスは常に露点以上に保たれ、凝縮による酸腐食や配管の詰まりといったリスクを低減できます。また、ガスサンプルを冷却しないため、NH3、HCl、SO2のような水溶性成分も、ガス処理や複雑な補正計算を行うことなく、単一の測定セルで直接測定できます。さらに、SICKのホットウェット測定技術では、プロセスガス中の腐食性SO2を除去するためのガス冷却器や特殊な酸フィルタ、ウォータートラップ、過酸化水素注入システムなどの追加設備を必要としません。これにより、メンテナンス負荷の軽減と消耗品コストの削減を実現します。

SCP3000 高温ガスサンプリングプローブMCS300P 多成分ホットウェットガスアナライザを組み合わせることで、セメント工場のキルン入口におけるガス測定の課題に対応できます。高温ガスや高濃度の粉塵、腐食性ガスといった過酷な条件下でも、複雑でメンテナンス負荷の高いサンプル調製システムを必要としません。また、アナライザは自動セルフクリーニング機能と自己調整機能を備えており、高いシステム稼働率を実現します。ガスサンプル調製が複雑になりがちなコールドドライ測定方式と比較して運転コストを大幅に削減でき、ホットウェット測定技術では最大40%のコスト削減が可能です。さらに、このシステムは石油コークスのような硫黄含有量の高い燃料や、タイヤ、RDF、廃油、木材チップ、医療廃棄物などの代替燃料への対応を考慮して設計されています。そのため、腐食性の高い過酷な測定環境においても、信頼性の高い測定を実現します。

MCS300P HW 多成分ガスアナライザと非分散型赤外線(IR)フォトメータ ©Endress+Hauser

MCS300P HW 多成分ガスアナライザと非分散型赤外線(IR)フォトメータ

デジタルソリューション:将来の変化をいち早く把握

Calcia社は今後、キルン入口のプロセスガス分析システムの稼働率向上を目的として、Endress+Hauserの新しいデジタルサービスである状態監視ソリューションを導入する計画です。Monitoring Boxは、機器やプラントの状態に加え、アプリケーションそのものも継続的に監視できるデジタルソリューションです。接続された機器から収集した重要なデータは、ゲートウェイを介して暗号化されたうえで、モバイルネットワーク、LAN、またはWi-Fi経由で安全なクラウド環境へ送信され、さらなる分析や運用改善に活用されます。

状態基準メンテナンスでは、ガスアナライザやサンプリングシステムに加え、水冷式ガス抽出プローブの冷却システムやプログラマブルロジックコントローラ(PLC)などの補助装置も含め、システム全体の健全性を示す重要なパラメータを継続的に監視します。

予期せぬ故障やダウンタイムを防止

収集したデータは、状態監視Webアプリケーションで確認・評価できます。機器の状態変化を継続的に監視することで、メンテナンス担当者は適切なタイミングで対応でき、システムの高い稼働率を維持できます。これにより、状態監視サービスは設備の稼働率と信頼性の向上に貢献し、予期せぬ故障やダウンタイムの防止を支援します。また、サービス契約の一環として、Endress+Hauserがお客様に代わって接続機器を監視することも可能です。

こうした情報を活用することで、問題が顕在化する前に兆候を把握し、早期に対応できます。その結果、設備の長寿命化や投資回収期間の短縮につながります。さらに、このソリューションにより、Endress+Hauserはメンテナンス計画の最適化や迅速なトラブルシューティングを支援できるため、メンテナンス担当者の移動時間や関連コストの削減も可能になります。

これらの効果は、セメントメーカーの運用改善に直接貢献します。また、リモート点検によって分析システムから得られるデータの品質も向上します。その結果、メンテナンス業務全体の効率化が進み、設備のライフサイクル延長にもつながります。

スケーラブルなソリューション

SICKとCalcia社との良好な協力関係に加え、Heidelberg Materialsグループ各社での豊富な導入実績を背景に、Couvrot工場ではキルン入口にSCPS3300 プロセスガスアナライザが導入されました。このシステムは、SCP3000 ガス抽出プローブとMCS300P ホットウェット抽出型多成分ガスアナライザで構成されており、重要かつ高度な要求に対応するこの測定用途に最適なソリューションとなっています。同じソリューションは、BeaucaireおよびAirvaultの拠点にも導入されています。

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