渦流量計の測定原理
渦流量計の原理と用途を理解する
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03.12.2024
要約
渦流量計は、障害物(ブラフボディ/渦発生体)の下流で発生する渦を検出することで体積流量を測定します。渦周波数は流速に比例します。 渦発生体の形状は、一定のストローハル数を維持し、正確な測定を維持するために重要です。デルタ形状の渦発生体は特に高いリニアリティと精度を発揮します。 渦流量計は蒸気、非導電性液体および気体の測定に幅広く対応し、設置が容易で、広いターンダウンレンジを備えているため、さまざまな産業アプリケーションに適しています。
渦流量計の測定原理は、密閉配管内または開水路内の流体の流れにおいて、障害物の下流に渦が形成される現象に基づいています。この現象は、たとえば橋脚の下流に形成される渦(「渦列」)を見ることで確認できます(図1)。橋脚(渦発生体)の両側での渦の発生周波数は、平均流速、したがって体積流量に比例します。1513年にはすでに、レオナルド・ダ・ヴィンチが、流れの中にある障害物の下流に生じる渦をスケッチしていました。
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図1:左:橋脚背後での渦の発生。右:火山の山頂(矢印)に発生した雲層中の渦の衛星写真(写真:NASA)。
1878年、ストローハルは、渦発生体の背後に形成される渦を科学的に説明しようとしていました。ストローハルの研究により、噴き出した空気内で張力をかけたワイヤが振動することが明らかになりました。ストローハルは、この振動の周波数が噴き出した空気の速度に比例することを発見しました。この現象は車や家で確認できます。風のヒューという音は渦の発生によって起こり、風速の変化に伴って高くなったり低くなったりします。これは「エオルス音」と呼ばれます。
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図2:渦流量計の測定原理。d=渦発生体の直径、f=渦の発生周波数、v=流速、L=2つの渦の間の距離
この文脈で使用されるストローハル数は、渦の発生周波数、流速および渦発生体の直径の関係を表します(図2を参照)。これは、以下の式で表されます。
St:ストローハル数 f:渦の発生周波数 d:渦発生体の直径 v:流速
1912年に物理学者のテオドール・フォン・カルマンは、後に「渦列」として知られるようになった現象を説明し、渦流量計による流量測定の理論的基盤を固めました。流体の流れの中で渦発生体の背後に形成される二列の渦を解析した結果、渦の横方向間隔(d)と縦方向間隔(L)の間に一定の比率があることが明らかになりました。たとえば、渦発生体が円柱形の場合、この比率は0.281です。したがって、配管径が一定であれば、個々の渦の体積は一定になります。運転条件が異なっても渦の大きさが同じであると仮定すると、単位時間あたりの渦の数から流量を直接求めることができます。
流れは渦発生体の最も幅の広い部分で最大速度に達し、その後、ある程度速度が低下します。図3は、流れが渦発生体の形状に沿って流れ続けるのではなく、その形状に沿った流れから離れていく様子(a)を示しています。これにより局所的な低い圧力が生じ、逆向きの流れが発生し、最終的に渦(b)が形成されます。これらの渦は、渦発生体の両側で交互に放出され、流体によって運ばれます。
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図3:渦の形成と放出。
渦発生体の断面形状はメーカーによって異なります。長方形、三角形、円形、デルタ形状、または各社独自の特許取得済み設計などがあります。この設計は、測定範囲全体にわたってストローハル数が一定になるようにする必要があります。つまり、渦周波数は圧力、温度および密度の影響を受けません。渦流量計では、この一定範囲(Re>10,000)を利用して体積流量を測定します(図4を参照)。デルタ形状の渦発生体は、ほぼ理想的なリニアリティを示し、特に高い信頼性があることが実証されています。NASAのエンジニアは、こうした渦発生体の設計を徹底的に研究してきました。その結果、こうした設計では、読み値の±0.75%の測定精度と約0.1%の再現性を達成できることが示されています。
渦流量計 の特性は通常、「Kファクタ」で定義されます。このファクタは、単位時間あたりの渦の数(単位体積あたりのパルス数)を表します。メーカーは校正によってこのKファクタを求め、この情報を計器の銘板に記載します。Kファクタは、渦発生体の形状と配管サイズに依存します。
渦流量計(呼び口径50 mm、2 inch)のKファクタが1リットルあたり10パルスの場合、測定流体が水、蒸気、その他の流体のいずれであるかにかかわらず、発生する各渦パルスは0.1リットルの体積に相当します。
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図4:レイノルズ数(Re)の関数とした場合の各種渦発生体のストローハル数(Str)。a=デルタ形状の渦発生体、b=円形断面の渦発生体。
渦流量計は、蒸気 、液体、気体の体積流量を測定するために、さまざまな産業分野で使用されています。従来、オリフィスプレートなどの差圧式流量計が使用されていたアプリケーションでも、渦流量計の採用がますます広がっています。この傾向は現在も続いています。その理由は単純で、渦流量計は設置が容易で、より広いターンダウンレンジを備えているためです。図5にその一例を示します。
1980年代以降、渦流量計は蒸気測定に対して、あらゆる産業分野で特に広く使用されるようになりました。渦流量計で測定できるのは体積流量のみですが、蒸気システムは一般に質量またはエネルギー量で評価されるため、これらの流量計は、内蔵型または別置型の圧力センサおよび温度センサと組み合わせて使用されることがよくあります。
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図5:蒸気アプリケーションで使用されるEndress+HauserのProwirl渦流量計。
電磁流量計(マグメーターとも呼ばれます)とは異なり、渦流量計は、炭化水素、脱イオン水、ボイラー復水、ボイラー給水などの非導電性液体または導電性が非常に低い液体の流量を測定できます。また、電磁流量計よりも高圧かつ非常に高温の条件で使用することもできます。
この用途では、渦流量計は、圧縮空気、天然ガス、または窒素、酸素、二酸化炭素、炭化水素などの空気中のそれぞれの成分の測定に広く使用されています。
エンドユーザーの関心は、純粋な体積測定から補正済みの質量測定へと移行しています。こうした動向により、精密な収支計算が可能にさせました。圧力と温度を考慮することで、正確な質量測定を実現できるため、これは正確な収支管理、プロセス制御、最適化に不可欠です。
さらに、特殊な湿り蒸気測定(乾き度/蒸気品質)は、オペレータが蒸気の品質を把握し、湿り分の蓄積の可能性をオンラインで検出するのに役立ちます。これにより、安全性と効率を確実に向上させることができます。飽和蒸気環境や湿り蒸気環境でも最高レベルの精度を実現できるため、マスバランスにギャップが生じる可能性を排除できます。
Endress+HauserのProline Prowirl流量計は、流量、圧力、温度の測定を1台の計装機器に統合することで、効率と精度を大幅に向上させます。
精度:圧力と温度を同時に記録することで、動作条件の変動に左右されない正確な流量測定を実現できるため、気体や蒸気のマスバランスの計算に最適です。 効率:複数のパラメータを1台の機器に統合することで、設置作業とメンテナンスコストを大幅に削減できます。 信頼性:Prowirl流量計は堅牢で耐久性があり、厳しい条件下でも信頼性の高い性能を発揮します。
渦流量計に関するよくある質問:メンテナンスとアプリケーション
測定対象の液体に気体または固形分が含まれている場合はどうなりますか?
通常、液体は単相である必要があります。つまり、気体も固形分も含まれていない状態である必要があります。
液体に混入した気体は、正の測定誤差を生じさせます。このような場合、渦流量計は、渦発生体とセンサパドルが水平になるように取り付けるか、またはセンサが配管の下部に位置するように取り付ける必要があります。ただし、この方法では、気体は測定できません。 多量の固形分、たとえば錆びた金属粒子や配管内の赤サビが混入する場合は、これらの粒子に覆われることのない位置にセンサを取り付ける必要があります。このような場合、センサと電子部が水平になるように取り付けるか、または配管の上部に取り付けることを推奨します。 渦発生体または測定管内に固形分が蓄積すると、これらの部品の形状が変化し、Kファクタに影響を与え、最終的に測定誤差の原因となります。
湿り蒸気を測定する必要がある場合はどのようなことが起きますか?
標準機器では、流れに含まれる蒸気のみが測定され、凝縮水は測定されません。オプションで利用できる湿り蒸気測定機能では、蒸気品質が定性的な量として測定されます。これにより、オペレータは積算量(体積、質量またはエネルギー)だけでなく、品質(蒸気と凝縮水の比率)も把握できます。
研磨性物質が流れに混入した場合はどうなりますか?
激しい摩耗が発生する条件では、渦発生体の形状が変化することは避けられず、渦を発生させる鋭いエッジ部分が削られて丸くなります。これによりKファクタがドリフトし、その結果、一定の測定誤差が生じます。ただし、渦周波数への影響は比較的小さく、エッジの丸みが最大2 mmの場合、測定誤差は約±0.3%増加します。
レイノルズ数が10,000未満の場合はどうなりますか?
レイノルズ数が10,000未満での測定では、渦発生体の下流側に形成される渦が完全な規則性のある状態に達しないため、追加の誤差が生じます。流体の種類、圧力、温度、粘度などのプロセスパラメータが分かっていれば、レイノルズ数が5,000~10,000の範囲ではこの誤差を補正できます。レイノルズ数が5,000未満の場合、渦の発生はよりランダムになり、不明瞭になるため、測定が実用的ではなくなるか、不可能になります。
規定された最大流量を超えて機器を運用する必要がある場合はどうなりますか?
多くの流体では、9 m/s(30 ft/s)を超える流速で測定すると、キャビテーションにより誤差が発生します。圧力損失も比較的大きくなる可能性があります。Endress+Hauserの選定/設計ソフトウェア「Applicator」には、特定のプロセス条件下でキャビテーションが発生する可能性を判定するための機能が組み込まれています。気体流速が75 m/s(245 ft/s)を超える場合、圧力損失が大きくなり、このタイプの流量計では経済的に見合わなくなる可能性があります。それでも、仕様としては、Prowirlの最大渦周波数により、呼び口径50 mm以上の配管サイズでは最大120 m/sまで測定できます。
推奨される上流側および下流側の直管長が確保されていない場合はどうなりますか?
渦流量計が正しく機能するには、渦発生体の下流側で規則的に渦が形成される必要があります。そのためには、流量計の上流側で良好な流量プロファイルが形成されている必要があります。上流側の配管部品(バルブ、曲がり管など)による流速分布の乱れは、大きな測定誤差を生じさせる可能性があります。したがって、流速分布の乱れを引き起こす障害物の種類に応じて、渦流量計の上流側には呼び口径の10~40倍の最小直管長が必要です。各メーカーは、各機器に必要な上流側直管長を指定しています。フローコンディショナ(多孔板)を設置すると、上流側直管長を呼び口径の約10倍まで短縮できます。渦流量計の下流側直管長は、渦発生体の下流で渦が自由に形成されるよう、十分な長さ(最小で呼び口径の5倍)を確保する必要があります。
流れが脈動している場合はどうなりますか?
特定の脈動周波数では、渦流量計が測定信号と重なり合った脈動信号を区別できなくなり、その結果、流量の指示値に誤差が生じます。
測定は密度および流体粘度にどの程度依存していますか?
レイノルズ数の許容「リニア」範囲内(ストローハル数が一定の範囲)では、密度と粘度は精度に影響しませんが、レンジアビリティが低下する場合があります。レイノルズ数が15,000未満の場合はこれが当てはまらなくなり、測定精度が低下することは避けられません。したがって、密度と粘度は測定可能な最小流量に影響します。
流体温度は測定にどのような影響を与えますか?
計器本体の膨張により、Kファクタは温度に応じて変化し、その変化量は本体の材質によって異なります。ステンレス鋼の場合、この値は100 Kあたり約0.5%です。流体温度を入力するか、Prowirlで追加測定することで、このような影響を補正することができます。
Kファクタが流体の種類(液体、気体)に依存しないのはなぜですか?
Kファクタは、流量計の測定部の形状のみに依存するため、流体の種類にはまったく依存しません。
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