要約
PROFINETは、オートメーションシステムとフィールド機器間の通信用に設計された産業用イーサネット規格です。 プロセス産業において、高速かつ信頼性の高いデータ交換による制御と監視を可能にし、センサ、アクチュエータ、コントローラを単一のデジタルネットワークに統合できます。 その柔軟性により、オートメーションシステムにおける異なる通信階層間のシームレスな接続が可能になり、プラントの透明性、診断機能、効率が向上し、IIoTやデジタルトランスフォーメーションへの取組みにも対応できます。 この記事では、プロセスプラントにおける実装方法を考察し、Ethernet/IPとの違いについて説明します。
4~20 mAとHARTは依然として広く利用されていますが、デジタルネットワークはデジタル化への取組みとの相性の良さから、産業環境において注目が高まっています。 アナログシステムは堅牢かつシンプルで、現場作業を簡素化できるため、継続的な利用についてよく議論されています。ただし、フィールド機器と制御システム間で透明性の高い接続をどのように実現するかという問題が残ります。
最新のコントローラや機器は膨大な量のデータを生成するため、Modbus RS485、OPC、PROFIBUS DPといった高度な通信プロトコルが必要です。また、FOUNDATION Fieldbus H1、PROFIBUS PA、PROFINETなどの技術は、さらに高度な統合機能を提供します。これらの産業用ネットワークは、フィールド機器とコントローラを接続し、アナログシステムのみの場合に使用できる機能をはるかに超える診断や設定などの高度な機能を提供します。
このような進歩にもかかわらず、4~20 mAが依然として現場で主流を占めているのは、主に、ベンダーのコンセプトとユーザーの現状とのずれや、デジタルネットワークの複雑さが原因であり、これによりアナログの廃止が先送りになっています。しかし、IIoTとAIの台頭により、デジタル化が加速し、新規プロジェクトではイーサネットベースのプロトコルや無線通信の採用が一般的になりつつあります。このトレンドは明確で、今後、より多くのデジタルソリューションが登場し、私たちはそれを採用する準備を整えておく必要があります。
ルーターやインターネットに接続する機器を設置する場合、イーサネットケーブルを利用することが多いと思います。「イーサネット」というと単にイーサネットケーブルそのものを指すと考える人が多いかもしれませんが、実際には、ケーブルはイーサネットネットワークの物理層にすぎません。
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イーサネットは、このケーブル上で複数の通信プロトコルをサポートします。一般的な例としては、インターネットプロトコル(IP)や伝送制御プロトコル(TCP)があり、これらは日常的なアプリケーションで広く利用されています。ただし、産業環境では、より複雑な要求に応えるために、追加のプロトコルが必要です。
プラントの現場では、コントローラは短い応答時間でドライブ、I/O、ワークステーションのデータにアクセスする必要があります。一方、ネットワークには摩耗、湿度、温度変動といった過酷な環境条件への耐性が求められます。このような要求に応えるため、オートメーション分野の専門開発者が産業用イーサネットを開発し、これを基盤として、産業アプリケーション向けの堅牢なイーサネットベースのプロトコルであるPROFINET が誕生しました。
PROFINETは、センサやアクチュエータなどのプロセス機器を制御システムに接続するイーサネットベースの産業用通信プロトコルであり、PROFIBUS and PROFINET International(PI)組織が、複数の産業パートナーと協力して開発しました。
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このプロトコルは、IEEE 802イーサネット規格に準拠し、IEC 61158とIEC 61784で定義されており、同一ネットワーク上でさまざまな機器をシームレスに統合できます。たとえば、単一のインフラ内でプリンタと流量計を共存させることが可能です。PROFINETは、一般的な家庭用ネットワークとは異なり、極めて高速なサイクル時間(多くの場合、ミリ秒未満)を実現し、産業オートメーションに適しています。
その構造を理解するために、ネットワーク通信機能を7つの階層に分類して定義するISO/OSIモデルを使用して説明します。イーサネットは通常、以下の4つの層を使用します。
イーサネット :物理層とデータリンク層IP :ネットワーク層TCPまたはUDP :トランスポート層その他の プロトコル :特定の機能 PROFINETは一般的にこのモデルに準拠しますが、一部のアプリケーションでは特定の層を使用しない場合があります。たとえば、Real-Time(RT)PROFINET は、通信の高速化のためにネットワーク層とトランスポート層を使用しません。
TCP/IP :設定や周期的な読み取り/書き込み処理向けReal-Time(RT) :サイクル時間が1~10ミリ秒のオートメーションタスク向けIsochronous Real-Time(IRT) :スケジュールされたスイッチングを使用する高精度の同期通信向け PROFINETは、この階層型のアプローチにより、柔軟性、速度、信頼性を確保できるため、最新の産業オートメーションとIIoTの統合における基盤となっています。
PROFINETでは、PROFIBUSで使用される従来のマスタ/スレーブ方式に代わり、データ交換にプロバイダ/コンシューマモデルを使用します。一般的に、PROFINETシステム内の機器は、以下の3つのカテゴリに分類されます。
コントローラ: 通常、オートメーションプログラムを実行するプログラマブルロジックコントローラ(PLC)または分散制御システム(DCS)。コントローラは、I/O機器に出力を送信し、I/O機器から入力を受信します。これはPROFIBUSのクラス1マスタに相当します。デバイス: イーサネット接続を介してコントローラと通信するセンサやアクチュエータなどのフィールドコンポーネントであり、PROFIBUSのスレーブに相当します。スーパーバイザー: 監視、設定、トラブルシューティングに使用されるPC、HMI、診断ツールなどのシステムであり、PROFIBUSのクラス2マスタに相当します。 PROFINET I/Oシステムには、少なくとも1つのコントローラと1つのデバイスが必要ですが、多様な構成が可能です。たとえば、複数のコントローラで1つのデバイスを管理することや、1つのコントローラで複数のデバイスを管理すること、あるいは複数のコントローラで複数のデバイスを管理することも可能です。スーパーバイザーは通常、設定時や診断時に一時的に使用されます。
これらの中心的な要素に加えて、PROFINETネットワークにはスイッチや無線アクセスポイントなどのコンポーネントも含まれます。このようなコンポーネントには、I/O機器としても機能し、高度な診断機能を提供するものもあります。
PROFINET I/O機器を設定するには、管理ツールとGSD(General Station Description)ファイルという2つの要素が必要です。機器ベンダーから提供されるGSDファイルは、PROFIBUSで使用されるものと似ていますが、GSDMLと呼ばれるXMLベースの形式に準拠しています。
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設定が完了すると、GSDMLファイルがコントローラにダウンロードされ、接続された機器との通信が確立されます。この時点から、入力や出力などの周期的データがコントローラと機器間で継続的に送受信され、必要に応じて診断情報などの非周期的データが交換されます。
PROFIBUSとPROFINETのどちらを選択するかは、アプリケーションの具体的な要件に応じて異なります。PROFIBUSは、シリアル通信に基づく実績のあるデジタルプロトコルですが、PROFINETは、産業用イーサネットを基盤とする最新のプロトコルです。PROFINETは、帯域幅と通信速度においてPROFIBUSを大きく上回っており、より多くのデータパケットを転送できます。
PROFIBUSとPROFINETの違いの概要については、こちらでご確認いただけます。
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PROFINETのもう1つの利点は、無線技術との互換性です。イーサネットベースの規格のため、必要に応じてWi-FiやBluetoothと統合でき、モバイル接続やリモート接続を柔軟に利用できます。
接続性とオープン性は、効率的なIIoTシステム構築の基盤となります。実用的な情報を生成するには、正確なフィールドデータの収集が不可欠であり、PROFINETはフィールド機器とEndress+HauserのNetilion のようなIIoTエコシステムとの間で、信頼性と透明性に優れたリンクを確立します。
PROFINETの強みの1つは、他のプロトコルと共存できることです。これにより、事業者は使い慣れたインフラを無駄にすることなく、デジタル時代への移行を実現できます。さらに、PROFINETと連携して機能するOPC UAなどのオープン規格を使用して、フィールド機器から上位システムにデータをエクスポートし、クラウドデータベースとのシームレスな統合を実現できます。
PROFINETはすでにIIoTの重要なイネーブラーであり、その役割は今後も拡大していくでしょう。
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