キーワード、オーダーコード、製品コード、またはシリアル番号で検索してください(例:「CM442」や「技術仕様書」)
2 文字以上を入力して検索を開始してください。

変革を加速する

水は、私たちの暮らしに欠かせない重要な資源です。しかし今、多くの地域でその不足が深刻化しています。Veoliaでグローバル水技術事業のCEOを務めるAnne Le Guennec氏は、環境変革をこれ以上先延ばしにできない理由について語ります。

11.05.2026 Text: Questions Christoph Stockburger Photography: Christoph Fein
水不足と環境変革について語る

Le Guennec氏、Veoliaでは持続可能な水処理に向けたグローバルな水技術ソリューションを提供しています。

この仕事を通じて、水という身近な資源に対する見方はどのように変わりましたか?

工学を学び、キャリア初期から水処理プラントの設計に携わってきたことで、水の供給がいかに複雑な仕組みに支えられているかを早い段階から実感していました。そのため、私にとって蛇口から流れる水は、もはや単なる「水」ではありません。そこには、多様な技術や同僚たちの専門知識、化学、データ、そして安全を支える膨大なエンジニアリングがあります。さらに、その裏側で稼働し続ける設備や、深夜でも水の流れを見守り続けているチームの存在にも思いを巡らせます。誰かがどこかで蛇口をひねったとき、いつでも当たり前のように水が使えるよう支えているのです。私の視点は、ずっと前に「水は自分のために何をしてくれるのか」から、「すべての人に安定して水を届け続けるにはどうすればよいのか」へと変わりました。

持続可能な水管理における最大の課題は何ですか?

公衆衛生を守り、産業活動を支え続けるためには、水を使い捨ての資源として捉える考え方から脱却しなければなりません。Veoliaでは、その課題に対して水の再利用拡大に取り組んでいます。あらゆる産業が可能な限り水を再利用できるようにすることで、事業の安定性や生産性を高めると同時に、環境負荷の低減や、場合によっては第三者への水供給にもつなげることができます。また、排水をエネルギー源として活用し、自社あるいは他社のエネルギー利用に役立てる可能性も広がっています。しかし、重要なのは水量だけではありません。安全性も同じくらい重要です。現在、私たちは微量汚染物質やPFASの増加という課題にも直面しています。これらは、私たちの日常生活のあらゆる場面に存在する物質です。

Anne Le Guennec、Veolia Water TechnologiesのCEO。

「何もしないことによって生じるコストは何かしたことによるコストより大きくなるものです。」

Anne Le Guennec, Veolia Water TechnologiesのCEO。

サステナビリティストラテジスト

Anne Le Guennec氏(1975年生まれ)は、Veoliaのグローバル水技術事業のCEOであり、Estelle Brachlianoff CEO率いるVeolia Groupの経営委員会メンバーも務めています。1998年にVeoliaへ入社。Compiègne University of Technology卒業後、欧州、中東、北アフリカにおいて、廃棄物、水、エネルギー関連サービス分野のさまざまなリーダー職を歴任してきました。運用管理、事業開発、イノベーション分野で20年以上の経験を持ち、2023年からはVeoliaのグローバル水技術事業を統括しています。現在は、GreenUpプログラムをはじめとする戦略的取り組みを推進しています。趣味は写真、ランニング、ゴルフ、読書。愛読書には、Trevanianの『Shibumi』やNathan Hillの『Wellness』があります。

Veoliaはどのようにこれらの課題に対応していますか?

弊社の強みは、幅広いソリューションポートフォリオ、170年にわたり培ってきた専門知識、そしてグローバルな事業展開にあります。これらを組み合わせることで、世界各地で培ったベストプラクティスを、それぞれの地域が抱える課題に合わせて展開しています。また、安全性確保に向けた「ループ」の考え方も、弊社の大きな特長の一つです。たとえばPFASについては、Veoliaはこれらを分解して処理できる数少ない企業の一つであり、サンプリングや分析から責任ある廃棄物処理まで、一貫したソリューションを提供しています。こうした専門知識を基盤として、2024年には戦略プログラム「GreenUp」を立ち上げました。このプログラムでは、既存ソリューションの展開加速とイノベーション推進を通じて、2027年までに15億立方メートルの水使用削減と、1,800万トンのCO₂排出量削減への貢献を目指しています。

最大の可能性はどこにあるとお考えですか?

最も大きな可能性があるのは、水とエネルギーの管理を一体的に最適化できるプラントです。水処理にはエネルギーが必要であり、一方でエネルギー生産には水が欠かせません。そのため両者を切り離して考えることはできません。弊社は、排水汚泥をエネルギーへ変換する技術や、水処理プロセスを最適化して電力消費を削減するソリューション、さらには設備のエネルギー効率向上を支援する技術を提供しています。

Veoliaは水、廃棄物、エネルギー分野
のサービスを展開するグローバルリーダーです。 ©Endress+Hauser

Veoliaの持続可能な水ソリューションにおいて、自動化と測定技術はどのような役割を果たしていますか?

弊社が設計する飲料水処理施設や排水処理施設では、生産最適化に必要な正確なデータを取得するため、高度な計装機器とオートメーションソリューションの導入が欠かせません。Endress+Hauserの機器は、安定した運転維持やプロセス改善に必要な重要データを、信頼性高く提供してくれます。また、Endress+Hauserは弊社と同様に欧州にルーツを持ちながら、世界規模で事業を展開しています。現在では、米国、フランス、サウジアラビア、中国、UAE、コロンビアなどにおいて、水、エネルギー、廃棄物管理分野で数多くの共同プロジェクトを進めています。

貴社とお客様にとって、環境変革はどのように進めるべきだとお考えですか?

弊社は、単なる「水道事業会社」から、「水の科学」に基づく企業へと進化してきました。そして、経済性、環境保護、社会的責任を両立させるためのイノベーションを推進しています。弊社は、水関連技術に関する4,000件以上の特許を保有しており、それによって確かな成果を提供しています。現在、私がお話しする多くのお客様にとって、水質や水不足は経営上の重要なリスクになっています。干ばつや洪水が発生すれば、市長やプラント管理者から緊急の相談を受けることもあります。だからこそ弊社では、お客様と同じ視点に立ちながら、確実に水を供給し、サービスの継続性を維持するための、具体的かつ費用対効果の高いソリューションを提供しています。たとえば、廃棄物をエネルギーへ転換したり、排水を再利用可能な水資源へ変換したりすることで、コスト削減と資源不足への対応を同時に実現できます。現在のように先行きが不透明な時代では、多くの人が「何もしないことのコスト」の方が、行動を起こすコストよりも大きいことを理解し始めています。たとえば、弊社の特許技術とエンジニアリングの専門知識によって、淡水化プラントのエネルギー消費を35%削減できれば、それは単に環境負荷を軽減するだけではありません。都市が持続可能な形で市民へ水を供給できるようにすることにもつながります。つまり、コストは将来に向けた持続可能な投資へと変わるのです。

デジタル化とAIは、事業にどのような可能性をもたらしていますか?

デジタル化とAIは、弊社の事業を支える「神経系」のような存在です。2025年には、業務におけるAI活用をさらに強化しました。これにより、チームは高度な意思決定支援ツールを活用しながら、水、廃棄物、エネルギー関連施設をより効率的に管理できるようになっています。

明確な目的を掲げるグローバルリーダー

Veoliaは、水、廃棄物、エネルギー分野でサービスを展開するグローバルリーダーです。48ヶ国以上において、都市や産業界による資源の活用、保全、再生を支援しています。同グループは、「環境変革」を企業としての明確な使命に掲げるとともに、「環境安全保障」を戦略目標として位置付けています。1853年にCompagnie Générale des Eauxとして設立され、現在はフランス・パリに本社を構えています。2025年時点での従業員数は21万5,000人、売上高は444億ユーロです。

Anne Le Guennec、Veolia Water TechnologiesのCEO。

「VeoliaとEndress+Hauserとのパートナーシップは 精度に関する共通の認識に基づいて構築されています。」

Anne Le Guennec, Veolia Water TechnologiesのCEO

どのようにしてイノベーションの優位性を維持しているのでしょうか?

弊社は常に将来の市場動向を分析し、お客様のニーズへ先回りして対応することを重視しています。たとえば現在は、最先端の超純水ソリューションの提供、さらに専門拠点を通じた情報の提供やトレーニングを通じて、医薬品やマイクロエレクトロニクス分野の急速な成長を支えています。そして、もう一つ重要なのは、常に謙虚であり続けることです。優れたアイデアは自社だけから生まれるものではないと理解しているからこそ、機動力のあるスタートアップや大学と積極的に連携し、新たな発想やイノベーションを取り入れています。環境危機という課題に本当の意味で向き合うには、協働が欠かせません。どれほど大きな企業であっても、単独で気候変動を解決できる万能な答えを持っているわけではないのです。

協働を成功に導くために、パートナーには何が求められますか?

弊社は、専門知識や革新的な技術を持ち寄りながら、同じ志と挑戦する意欲を共有できるパートナーを求めています。またVeoliaでは、研究者、学術関係者、業界専門家、資金提供者、NGO、スタートアップ、そしてVeoliaのエキスパートなど、多様な関係者を結び付ける新しい形のパートナーシップも推進しています。こうした取り組みでは、微量汚染物質のような複雑なグローバル課題をテーマにワークショップを開催し、参加者同士がアイデアを共有しながら、新たなソリューションの検討や、短期・中期で実行可能な具体策の推進につなげています。

Greenup戦略

GreenUpは、環境変革の加速を目的としたVeoliaの戦略プログラムです。数十億ユーロ規模の重点投資を背景に、「汚染除去」「脱炭素化」「資源再生」の3つを柱として、実用的なソリューションの展開を進めています。またVeoliaでは、「成長ブースター」と位置付ける重点事業分野も定めています。具体的には、地域エネルギー、バイオエネルギー、水関連技術、新規ソリューション、有害廃棄物処理など、特に大きなインパクトが期待される分野に注力しています。

VeoliaとEndress+Hauserのパートナーシップにはどのような特徴がありますか?

Endress+Hauserは、水、エネルギー、廃棄物というVeoliaの中核事業全体を支えています。このパートナーシップの基盤にあるのは、「精度」に対する共通認識です。水処理、エネルギー、廃棄物処理プラントの設計段階から高精度センサを組み込み、ときには弊社設備へ直接統合することで、お客様のプラントをリアルタイムで最適化しています。また、この関係を支えているのは、技術に対する強い信頼です。データの信頼性が確保されているからこそ、私たちはさらにイノベーションを推進し、お客様に確かな成果を提供することができます。

環境変革には粘り強さが求められます。

急速な変化や不確実性の時代に、どのように意欲と前向きさを保っているのでしょうか?

気候変動に関するニュースを目にすると、圧倒されそうになることもあります。しかし一方で、水不足に苦しむ地域に新たな安定した水源が供給されたり、工場が使用水の大部分を再利用できるようになったりする現場を見ると、悲観的ではいられません。私が前向きでいられるのは、GreenUp計画が実際に前進している様子を日々目にしているからです。環境安全保障は、単なる理想ではありません。すでに現実のものとなり始めています。そう考えると、世界的な不確実性も脅威ではなく、新たな変革を生み出す機会として見えてきます。未来は、行動する人のものなのです。

同様のトピックを読む

ダウンロード

その他のリソースを検索

document icon
カンパニーマガジン「changes」2026年1月号 PDF, 7.5 MB
持続可能な変革の構想
download icon ダウンロード